私が訪れた街には、既に冬が訪れていた。
諏訪湖はどこまでも街と自然の魂のような場所にある。
白い星々は結晶となりて霧ヶ峰の時間を止めているかのようだ。
冬はあたたかい街にくるまっていて、なかなか離れない。
選ぶだけで日が暮れてしまいそうなパン屋や、ラテの香りに陽気な旅の光景が浮かぶようなカフェ。
ひとつひとつの野菜が食べることの喜びを物語っているかのようなお昼ごはん。
海外映画のワンシーンを演じてみよう、誰でも好きな自分になれるようなカフェ。
静謐なお店、あなたが選んだものたちだから、きっとこうして届く。
冬はあたたかい街にいて、ひとりひとりの側にいる。
そしてひとりひとりは決して独りではなく、みなどこかで繋がっている。
その街に、その人の笑顔を知っている人がいる。
ひとりひとりの営みが、暮らしが、生活が、きっと誰かの時間にある。
それはきっとひとりひとりが人を想ったり、街を見つめているからだろう。
だからこそあたたかい。
あたたかい街は、あたたかい人が住んでいるから。
冬はそんなあたたかい街の隣にいて嬉しそうだ。
きっと春もこの街を気に入るだろう。その様子が私はとても楽しみだ。
文:@11ayaka3
写真:@coji_n
ロケーション:霧ヶ峰高原(八島湿原)・太養パン・ReBuilding Center JAPAN・Eric's Kitchen・cafe le garcon・普遍と静謐・食と宿リュイソウ